福島第一原発の事故に伴う様々な被害に対して、どのように住民補償を行っていくか。この大きな課題に応える基準を作っていくために、原子力損害賠償紛争審査会が指針の作成を急いでいます。
どこの、誰が、補償を受ける対象者か。どのような被害が補償対象なのか。風評被害はどこまでカバーするのか。精神的な苦痛や、間接的な被害はどう考えるのか。様々な難しい論点があります。
この審査会の会長は、能見善久・学習院大学教授。
この先生は、民法の先生で、特に「不法行為」の専門家。「不法行為」とは、簡単に言えば、「誰かが何がしかの不法な行為を行って、第三者に被害をこうむらせた場合に、どのようにその被害に報いるのか」といったことを規定する民法の一分野です。まさに、今回の原発事故補償はこの分野の課題。
私も大学在学中に、この「不法行為」の講義を受講し、学びましたが、その時の教授はこの能見先生。
報道で能見先生の名前を見るたびに、当時の、先生の論理的な授業が思い出されます。
今般の難しい課題に、先生も御苦労されていることと思いますが、被害を受けた皆さんが納得のいく、すじの通った補償指針を作り出してくださるものと期待しています。