これまでのブログの中で、今回の金融危機への対応の中で、今後の経済・金融市場のあり方においてモラルハザードを生じさせかねない問題として、時価会計の見直しの問題や、金融機能強化法の経営責任の明確化を弱めることの問題点などを指摘してきました。
いずれも、現在の金融の動揺に対する対応は必要であるとしても、あまりにタガを緩めると、将来にわたって市場の参加者のモラルハザードを生じさせ、さらに大きな禍根を残すことにならないかという懸念です。
同じようなことがIMF(国際通貨基金)による、各国支援の枠組みにおいても起ころうとしているのでしょうか。報道を見る限りでは、IMFは日本政府からの提案も受け、新興国などに対する融資のあり方を改め、例えば金額的にもその制限を大幅に緩める(あるいはなくす)、そして融資の際に付する条件も緩和するということのようです。
特に融資を行う際に付する条件は、コンディショナリティーと言われていて、IMFがある国に緊急融資を行うことと引き換えに、今後はこういう経済政策を行ってくださいよ、という政策的ガイダンスです。これがあってはじめて、各国は経済運営を律し、安定化への道筋をたどるわけです。
もちろんアジア危機へのIMFの対応の中で、IMFのコンデショナリティー自体が適切かという問題はありました。しかし、これが大幅に緩和されるということは、やはり将来的に、各国の経済運営担当者に対して、「何かあればIMFが緩い条件で緊急融資を行ってくれる」という安易な気持ちを惹起しないでしょうか。今回の危機は乗り切れるかもしれませんが、その後また、今度はさらに大きな問題を引き起こさないでしょうか。
世界の政策当局自体も、危機への対応においてパニック的に、近視眼的な対応に終始し、大きな間違いをおかしそうになっているのではないでしょうか。
コメント
コメント一覧 (3件)
IMFは絶対に貸したお金は回収する!前回の韓国で起きた通貨危機でも日本が直接貸したお金は踏み倒されましたがIMF経由のお金は回収出来ました。IMFが条件を緩和することに批判する意味がわかりません。緩和しても絶対に回収するんですょ。日本がIMFを使って支援するのは日本国民の税金を無駄に使わない為にも最善の方法です。IMFが条件を緩和しても韓国は100%借りられません。回収の見込みが無いからです。それが不味いのですか?
IMFは、アメリカの国益を守る為の組織でOK?
これはいつでも借りれるという安易な考えを広めかねませんね