今日の衆議院農林水産委員会においては、漁業災害補償法改正案の質疑。災害、病害などに備えた、漁業面での共済制度、漁業共済制度の仕組みの見直しを行うものです。
今回の改正は、いくつかの技術的な側面を見直して共済加入率の向上につなげようというものですが、実はこの漁業共済制度についてはより本質的な問題がずっしりのしかかっています。
すなわち、構造的な漁業生産額の低迷、漁業就業者の減少という傾向の中で、共済(=保険)事業は、構造的な赤字体質となっています。現在のこの制度全体が抱える累積赤字は300億円以上。これを一般会計からの「隠れ借金」などで何とかつないでいるのが現状です。
改正案自体には異論はないので賛成するとしても、この根本的な問題には対応するものではないこと、そしてこの根本的な課題への対応こそが今必要なのだということを、今日私も石破農水大臣に対して質問に立って問いかけました。
さらに、今回私としては、質疑の中でこの課題を指摘するだけでは足りないと考えたので、「附帯決議」をつけることを提案しました。「附帯決議」とは、法案を通すときに、「今後こういうことに留意して政策運営してください」という、言わば国会から政府への申し送り事項の役目を果たすもの。
私としては、「現在の漁業共済制度の抱える構造的な課題、累積赤字の問題を踏まえ、速やかに抜本的な改革を行うべし」という内容の附帯決議案を提案したのですが、結局は与党側からの意見で、「速やかに」という部分と「抜本的な改革」という部分は落とされて、極めてマイルドな附帯決議となってしまいました。残念。
附帯決議については、私も役所勤務時代に何度も対応したことがあります。これも不思議な話しで、「国会から政府への申し送り事項」ですから、本来であれば、国会がその意志で自由に主張できるはずなのですが、附帯決議を作る過程の中で、与党からは必ずと言っていいほど、官僚側に対して「野党からこんな附帯決議案が出てきているけどこれで大丈夫か」と事前、内々の問い合わせが行って、その結果何を言っているのかわからないほど骨抜きにされた文章になることが往々にしてあります。
実現可能性などを含めて役所の意見を聞くというのならわからないでもないけれど、「速やかに」という決意とか、「抜本的な改革」といった覚悟などは、これは役所が「やめてください」と言うような内容ではないと思うのですが・・・・・・・附帯決議のあり方も今後よく考えていかなければなりません。
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