これまで約一ヶ月間行ってきた農地法等改正案の審議は、衆議院においては本日の農林水産委員会において議論終結、私たち民主党から提案した修正部分も加味した上で、採決、可決されました。
企業が、土地を所有する農家から土地を貸借して農業に参入することに途をひらくこの改正案。基本的な理念を含めた大改正案です。
その土地に縁もゆかりもない企業が、外からパッと土地を借りて農業参入し、利益が上がらないことがわかるとこれまたパッとそこから退出してしまうおそれがあるのではないか、その場合その後に残った農地を農地としてきちんと活用していく道筋を作っておかなければならないのではないか。そういった点などが議論の焦点となりました。
この点私たちから、参入する企業はどこの誰でもいいというわけではなくて、役員の少なくともひとりは農業にしっかり常時従事するという体制をとすることを提唱し、これも含めての農地法改正となりました。
今日私も二度目の質疑に立って(写真)、石破農相と議論を交わしたのですが、私が今日取り上げたのは、今回の補正予算に盛り込まれている農業予算の中身。
農水省で1兆円という特大規模の補正予算ですが、そのうちの30%、すなわち3000億円は、「農地の集積のために農地を貸し出した農家に対して、10アールあたり15000円交付します」という内容のものです。
一見よさそうな予算ですが、私はその実効性に疑問を持っています。
今農業の現場で聞こえてくる声は、「農業では収入が上がらないから続けていけない」という声です。だから農地を保有していても農業を続けていくことができず、耕作放棄地が年々増大するという構造になっています。
すなわち、農地を貸し出したい、自分ではもうできないので誰かに農地として使って欲しいという農地の「貸し手」「供給者」はいるのです。
ところが、逆に、誰がそれを借りて農業を継続してくれるかというと、上記のように「収入が上がらないから」、なかなか引き受け手がいないというのが現状です。
すなわち、農業に対する所得確保の手段を併せて導入することをしなければなりません。農業での所得の確保という政策なしに、参入規制の緩和のための農地法の改正をいくら行っても政策としては不十分です。ましていわんや、農地の「貸し手」側に財政資金を交付するというのは適切ではなく、逆に、農地を借りてでも農業を拡大していこうという担い手に、所得を支援するという方向が正しいはずです。
先に書きました、今回の補正予算の内容が問題なんだという点。農業政策においても露見しています。


コメント
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大串議員は何度も農政に関するエントリーを立てられ、その都度「農業に対する所得の確保」が必要だと主張しておられます。それは理解できます。しかし大串議員はその具体的な手段に触れたことは一度もありません。米のように他作物も生産者価格を政府が調整すべきと言うのか、民主党のマニフェストにあるような、バラマキをせよとおっしゃるのか。何にせよ、そこのところが農業問題のキモですから、大串議員の腹の内にある策を是非拝見したいものです。