麻生総理肝いりの、経済対策・補正予算案の審議が、衆議院予算委員会で進んでいます。
かねてからこの補正予算案の内容が問題なんです、ということを指摘してきました。
今日の予算委員会でも取り上げられたのですが、今回の補正予算案で顕著なのは、「基金」という手法で予算を消化する問題。
つまり補正予算案で、ある施策について、一定のたまり資金である「基金」を作って(あるいは積み増し)して、そこから複数年にわたって支出していくというものです。
15兆円規模の今回の補正予算案の中で、この「基金」方式の支出に該当するものは、なんと46基金、総額4兆円以上。
補正予算における「基金」の問題について、私は3年前の予算委員会から指摘してきました。
補正予算はその性格上、「緊急性の高い事業に対して」かつ「各年度の通常予算では対応できない場合」に措置されます。つまり、来年度の予算では間に合わないから、今の段階で一度限りの支出を緊急に行うというもの。
ここで「基金」を使うと政府にとって都合がいいのは、この「基金」にお金を積んでおけば、少なくとも数年間はここから支出を行っていくことができるという点です。
つまり予算については毎年毎年、政府と国会で精査していくという、憲法に定める「単年度予算主義」の考えの迂回路として、「基金」方式は政府・官僚にとって都合のいい制度なわけです。
しかもこれに加えて、今回の補正予算案は非常に性急に作られたため、とりあえず「基金」にお金を積んでおいて、そのつかい方の詳細は後から決めることができるというメリットもあります。
さらに言えば、基金をどこに積むか。地方公共団体という例もありますが、それ以外には民間団体、公益法人などと、いわゆる天下り団体に積まれるという例が多く出てくる傾向があります。この点も、政府・官僚には大変都合のいい制度。
3年前に私が指摘した頃には、まだちらほらの「基金」方式でしたが、今回これだけ広範囲に使われるということは、いかに役所のてのひらの上で踊るような予算案になっているかということを、如実に物語っています。


コメント
コメント一覧 (1件)
「政府・官僚」とひと括りに語っておられますが、「政府にとって都合がいい」と「官僚にとって都合がいい」はイコールなのでしょうか。私には必ずしもそうは思えません。もしそうなら、安倍晋三氏は今も首相だったと思いますよ。
ともあれ、無駄な基金があるとの指摘は、おそらく正しいのだろうと私も思います。選挙の際には是非「民主党が勝ったらこの4兆円オーバーの基金は全てチャラにして、国庫に返納する」と宣言して下さい。それはきっと有権者の「ハートに響く言葉」になるでしょう。批判するだけして、いざ政権の座についたら自民党の遺産を便利に使わせて貰っていたなどというダブスタは願い下げです。