「先を読んで先手を打つ」 これが仕事のできる官僚の必須条件。長年霞ヶ関で仕事をしてきて、私はいつもそう感じながら仕事をしてきました。
官僚は事務方です。霞ヶ関全体が、内閣の「秘書官」的な役割みたいなもの。優秀な「秘書官」は先手先手を打って仕事をする。それが要諦でした。
しかし、その「先手を打つ」能力が最近チグハグな感じがします。政権交代が起こる可能性があると見て、先手を打って、次官OBの駆け込み天下りを行っている。おかしな話です。天下り全廃を標榜する党も含めて、政権交代の可能性があったのだから、先を読む能力があるのであれば、駆け込み天下りは控えるのが筋ではなかったでしょうか。
補正予算について、昨日、執行の一時停止可能なものを停止する措置がやっととられました。選挙が終わって一週間後。民主党は、かねてから補正予算を組み替えるということを明らかにしていました。特に、例えば、私が事業仕分けで担当した「農地集積加速化事業」などは、明示的に、農業を行う農家への所得補償へと衣替えする方向性を打ち出していました。
にもかかわらず、選挙後、霞ヶ関は「先手を打つ」能力を発揮せず、一週間が経過する昨日まで、対応をとりませんでした。これも解せません。
国民の意思で、「政権交代」が起こった。この意味を、霞ヶ関が十分理解することが必要です。

