オリンピックの開催候補地に名乗りを上げていた東京ですが、残念ながら落選。その結果は残念ではありましたが、このことをきっかけに、私は地方財政上の「東京問題」を思い起こしました。
オリンピック招致のために東京が投じた費用は150億円。もしオリンピックが開催されていたとしたら、もちろん国としての財政上のバックアップはあったとしても、東京都としても相当の財政支出に直面していたはず。
150億円の招致費用、そしてさらに加えて開催費用までを呑み込むことができた、東京都の財政。新銀行東京の失態で、この数年間のうちに1000億円以上の都の出資を毀損してしまったことも記憶に新しいものです。それでも東京都の財政が揺らいだなんてことはありません。
全国で多くの地方自治体が破綻の危機に直面するその傍らで、東京の財政力は大変強いものがあります。
人が集中し、経済も集中する東京と、それ以外の地方。財政力の地方格差も極端に差があります。何せ税収力が全然違う。
地方分権、地域主権に向けて、税源移譲ということを地方自治体のグループからはよく要請されます。もちろん地方が自由に使える「一般財源」が多いほうがよいという考え方は、民主党も一致する考え。ですから賛成です。しかし、そのために税源移譲が最適な方法かというとよく考える必要があります。税源の単純な委譲は、今より以上に税収力格差を広げてしまいます。
必要なのは、単純な税源委譲ではなくて、交付税改革をも加えての全体としての財政調整機能の拡大。すなわち地方財政制度全体の改革を通じて、一般財源を増やしながら、地方自治体間の財政力の平準化をはかることです。
「東京問題」と言ってもいい地方間の財政力格差。地方自治体間での財政格差是正は避けて通れない課題です。