今週末行われた、G20の会合の折に、英財務相が、金融取引税を提唱したとの報道がありました。
金融取引税とは、世界的な金融取引税に対して薄く広く、世界的に課税して、それを例えば世界的な金融危機における公的資金注入などの用途に使っていこうという考えです。
もともとは、有名な経済学者トービン氏が提唱した、「トービン税」にその淵源があります。
トービン税とは、国際的に広く取引される外国為替取引に、広く薄く課税して、過度な短期的投機を抑えようという考えから、提唱されたものです。
さらに広く定義すればいろいろなバリエーションがありまして、外為取引や金融取引だけではなく、国際的な経済活動として、たとえば人の移動に着目して、航空運賃に広く薄く課税するとった形態もあり得ましょう。「国際連帯税」などという考え方にもつながります。
創造的なアイデアですが、大きな課題は、それを誰が、つまりどのような組織、仕組みが徴税し、あるいはその税金を使うのかということです。
いわゆる「世界政府」的なものを想定するのか。
今回の世界的な経済危機の背景には、世界的な統治体制、ガバナンスの体制の欠如の問題があると思います。
危機の予防、そしてそれが起こったときの対応にも、世界的なレベルでの対応が必要です。しかし、それを行えるような「世界政府」とでも言えるような、世界的な統治体制、ガバナンスの体制は出来上がっていません。国連、国際通貨基金、世界銀行、WTO・・・・・・どの既存の組織、仕組みをもってして十分というレベルには達していません。
しかし、世界で生じている問題状況を見ると、世界的な統治体制をますます必要とする状況となってきています。昨日このブログに書いた、地球温暖化対策なども、まさに世界的な統治体制の必要性を感じさせるものです。
従来の発想を超えて取り組まなければならない、新たなチャレンジがそこにはあります。

