「財政の持続可能性」 多額の債務を抱える国の財政。これが将来的に持続可能であるかどうか、それをどのような物差しで判断するのか。難しい問題です。
一般的には、「債務残高の対GDP比」で語られることが多いように思われます。GDP=国の経済力に比べて債務残高が大きすぎないかという考え方です。日本におけるこの比率は、国・地方の長期債務残高で見れば、190%程度。すなわち、経済規模に比して2倍近い債務残高があるということです。
この比率が縮小していく傾向にあれば財政は持続可能であり、逆に拡大していく傾向であれば持続可能性が疑われる、そういう物差しです。
このような数値的な物差しのほかに、「財政赤字が極めて大きくなった時に、国家として財政健全化のための強力な対策がとれるか否か」が、国としての財政の持続可能性を左右するという考え方もあると、ある経済学者の方から聞きました。
これを初めて聞いたのは、私が財務省の官僚だった頃。その頃はこのようなある意味「政治的」な物差しが、財政の持続可能性を測る物差したりえるのか?と疑問に思いました。しかし政治の世界から今、日本の財政を担当する立場に立ち、この物差しの意味するところがずっしりと胸に響いてきます。
英国で今、財政に関する懸念が指摘されています。これまで英国は、財政赤字に対しては比較的政治が迅速な対応をとってきた国でした。それが総選挙を前にし、政治がこれまでと同じような働きができるのかという点についての疑念が生じ、財政全体への懸念となっているようです。
ひるがえって、日本。同じような物差しをもって見られた場合、大丈夫と評価されるような政治であることは今の日本にとっては不可欠です。重い、物差しです。