昨日20日、諫早湾干拓事業に関する福岡高裁の開門判決に対する上告期限が過ぎました。
国は上告せず。3年猶予ののちに5年間開門という判決が確定したわけです。今後は長崎を含めた関係各般との、具体的な開門方法についての議論が鍵になります。
「5年間『開門』」という判決内容から、判決で求められているのは「常時開門」と解釈し、もっと言うと、一気にドッと開けるかのごとく解釈して心配する向きがありますが、この点について解説を加えておきたいと思います。
確かに判決が確定しました。では判決に示された開門とはどのようなものか。これを左右するのは実質的には勝訴側たる原告側の主張です。なぜなら、「判決が示した開門方法と違うじゃないか」ということで、「間接執行」という形で、裁判所に申し立てする権利を持つのは原告だからです。原告が異議を申し立てなければ、裁判所が勝手に「開門方法が違う」と言ってくることはありません。
一方原告側は、裁判の中でも、一貫して、開門方法については一気にドッと開けるのではなく、被害等が出ないように確認しながら段階的に開ける、「段階的開門」でよいのだということを主張してきました。また、原告側は、開門方法については関係者間で柔軟に議論すべきだという立場であることを明確にしています。
ですから、確定した判決を実行するには、段階的開門で十分であり、かつ具体的な開門方法は関係者間で十分議論し柔軟に考えられるのです。
この事実を基礎に、今後前向きな議論が進んでいくことを期待したいと思います