震災復興に向けた補正予算案について、色々な報道が先行する中、その財源調達について、おそらく巨額のものが必要になるであろうという見込みから、増税でもなく、普通の国債発行でもなく、国債を発行して日銀に直接引き受けてもらうという案が飛び交っています。
私はこの考え方には、今の段階では慎重です。
今回の震災は確かに未曾有のものです。国を挙げての対応が必要となります。しかし、それへの対応は、少なくとも金融市場との関係では、非常時的な対応ではなく、通常の色々な仕組みを武器として乗り切っていくスタンスでこれまでやってきています。ですから、金融市場の方も、比較的落ち着いて反応しています。
これが、国債の日銀直接引き受けという、通常ではない対応を一気にとってしまったとしたら、金融市場はこれを「異常なもの」ととらえ、不測の反応をする可能性があると、私は思います。
もちろんこれから震災対応について、本当に巨額の予算をもって対応していかなければならないことが、次第により明らかになっていくと思います。その中で、金融市場にも理解が進む形でそのような「異常なもの」ですら必要だという雰囲気になることがあるとすると、その可能性は出来てますが、今のところはそのような雰囲気ではないと思うのです。
いずれにしても日本の財政は、金融市場との緊張感のあるにらみ合いの状況が続きます。市場との対話が、これまで以上に必要になります。



