昨日に続いてTPPの自動車問題について。問題の構図は昨日書いた通りです。私は昨年この問題の担当政務官だった時、米国がこのような要求をしてくるだろうな、ということが予想されていたので、戦略的には、自動車関税撤廃の年限延長を受け入れるのであれば、それと取引しながら農産物に関する日本の関税撤廃の例外措置を勝ち取るというシナリオを描いていました。しかるに安倍政権においては、農業を守るという面においては、既に「聖域なき関税撤廃ではないことを確認した」と言っているので、これ以上譲歩を引き出す立場にはありません。一方自動車においては、交渉参加前に関税撤廃年限延長という日本側の譲歩を迫られる可能性があるわけです。自動車という交渉カードを使って農業を守るという戦略的な交渉構図にはすでになっていません。経緯を知っている私の目からは稚拙な交渉手法に見えます。
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