この春に、当時の菅財務大臣とともにワシントンDCを訪問した頃には、米国経済の見通しについて、比較的強気の見方が多かったと思います。当時面会したサマーズ米国家経済会議委員長もそのような見通しでした。
しかし、今、米国経済はバーナンキFRB議長の言う「異例な不透明さ」に直面し、日本が長きにわたって苦悶してきた「デフレ」の危機にすら晒されています。バーナンキ氏の采配が注目されます。
先進国経済に寄せては引き、引いては寄せ、近年リスク要因として脅かしている「デフレ」。日本が他国に先んじてデフレに入り、今でも苦しむ中、米国を含む他国は日本の教訓から学び、デフレを回避することができるのか。
そもそも、先進国経済を脅かすデフレリスクはなぜ存在し、かつこんなに長期化しているのか、これまでの伝統的な経済学の世界で衆目の一致するような見解はまだあらわれていません。したがって、日本の教訓に学ぶと言っても、試行錯誤の状態が続いているように見えます。政策当局者たる私たちは、その中から現実的な解決策を見つけていかなければなりません。

