「イタリア、国際通貨基金(IMF)の監視下へ」 この事実を重く受け止めました。
ギリシャ危機の影響もあり、イタリアの財政状況が極めて厳しい状況になってきていることは周知の通り。この状況に対応するために、経済運営についてのIMFの監視を受けることになったということです。
ある国が、外国とのおカネのやり取りにおいて十分な資金を持たなくなって危機的な状況になった時、これを一時的に資金面で救う「つなぎ支援」の役割を果たすのがIMFの基本的な仕事です。その際には、IMFから経済運営のひとつひとつについて細かい「コンデショナリティー(条件)」がつけられて、その条件に沿った経済運営が常になされているか、IMFのチームによる監視を受け続けます。「箸の上げ下ろしまで・・・・」といった言い方をされるのはこのためにです。
今回のイタリアの場合は、おカネがすぐに足りなくなったということではありません。そこでイタリアは、IMFから資金的な援助は受けないけれど、経済運営の監視は受けるという立場をとりました。
なぜ、資金は受け取らないけれど、厳しい監視だけ受けるのか、なぜあえて厳しいところだけ受けるのか、という疑問を持たれると思いますが、それは、IMFの厳しい監視を受けることで、イタリアの財政運営、財政状況に対して、IMFの信用を背景として「信認」を獲得するためです。
すなわち、今金融市場においては、イタリアの財政状況に対する不安感から、イタリアの国債に対する信用が低下している状況にあります。そこで、言わば「IMFのお墨付き」を得ることで、信用を回復していこうという考え方です。
IMFの監視下に入るということは、経済運営に対する、その国の自主性は大きく失われます。主要先進国がIMFの監視下に入るというのは極めてまれです。そのことが、今回の欧州の財政危機の深刻さを改めて浮き彫りにしました。