TPP、日豪EPAについての農林水産委員会決議には、「重要な農産品については、除外もしくは再協議とすること」とされています。すなわち関税の引き下げは認めない、という趣旨です。
林農水大臣はこれについて問われると、「この決議を踏まえて交渉に当たります」と答弁します。一方で、「除外、再協議とはどういうことか」と問われると、「それは決議の内容のことなので、その解釈は決議を作った農水委員会の判断によるでしょう」とかわします。このような答弁に対して、TPP、日豪EPA双方について、重要農産品の関税引き下げを受け入れるつもりなのではないかと、懸念が広がっています。
しかもこの答弁、聞いているだけでは、そうかな、と思いますが、実は大変奇妙な答弁です。
大臣は決議を「踏まえます」と言います。これは、決議の内容を、「こういう内容だ」と理解しているからこそ、「踏まえます」という判断が出てきているはずです。
もし決議の内容がよくわからないのであれば、「踏まえます」とは言えないはず。したがって、自分が「踏まえます」と言っている、「除外、再協議」という内容がはっきりしない=「それは農水委員会がお決めになることでしょう」ということは、論理的にあり得ません。
私に言わせると、この答弁、いかにも役所が作った、できの良くない答弁の典型例です。
その点を昨日の農水委員会でも指摘しましたし、このような奇妙な内容の答弁をもって答えをかわしていることからしても、TPP、日豪EPA交渉の行方が心配です。