麻生自民党幹事長が、今般政府与党で検討している景気対策の中に、300万円までの株式投資について、配当非課税とするべきだとの考えを示しています。
この措置をとることで株価上昇を促し、それをもって景気回復につなげるという考えのようです。
しかしこれはその思惑通り機能するでしょうか。
配当非課税とすることで、確かに株式市場に好感を与える可能性はあり、それによって株式市場がある程度上昇する可能性はあるでしょう。
しかし、問題はそれが景気全体の浮揚につながるか、です。景気が浮揚されるためには、株価の上昇が、経済の中で大きな割合を占める消費を押し上げることが明らかにならないといけません。いわゆる「資産効果」です。
確かに、近年の先進諸国においては、消費は株価などの資産価格によって大きく影響を受けるようになってきたという分析も見られるようになってきています。
しかしその分析は定見とまでいたったものではなく、したがって、麻生幹事長が言うように、株式配当非課税が本当に景気を浮揚させるかは不透明です。
逆に、株式配当非課税という措置は、株式に投資を行う財力のある層にのみ、好意的に働く措置であって、いわゆる「金持ち優遇」の面があることは否めません。
そのようなマイナス面をかかえながら、景気浮揚のプラス面はあるのか。私は否定的な見方です。
コメント
コメント一覧 (1件)
面白い分析ですね。同感します。マル優復活など、自民党(与党)の政策は、中流階級層や経済界に向いており、全国民を考えていない。株対策については、そのように思います。後半部分で触れているマクロ的考え方は、確かにそういう一面もありますね。しかし、現状の日本で求めれれている事は、中流階級の押上げでなく、全体的な押上げが求められているので、?ですね。
株価とは、企業の将来性を買うという要素も強くあります。日本の場合、海外へ資金が逃げており、日本に戻ってこないため、親会社のある日本では、株価が上がらない。つまり、企業は、グローバル化戦略を成功し、海外でも高い評価を得ているが、国内市場を企業自体、重視していない。また、内需、税制的にも魅力が無いと考えているでしょう。多くの人に恩恵を与える政策として、日本への資金の還流、規制緩和による海外企業誘致等で株式市場を活性化させることが大事です。近年、上場の審査が甘くなったり、不正会計による株主損失、海外投資の魅力などが要因で、魅力がなくなっているのも事実ですね。後、日本の株価は、割安です。