朝日新聞主筆の船橋洋一さんから、お話しを聞く機会がありました。現下の世界的金融危機のあと、世界はどこへ向かっていくのかという観点から、経済問題のみならず国際政治も含め、世界秩序の方向性についてでした。
「サブライムローン問題は、つまるところ『米中合作の世界的バブル』だった。そのバブルがはじけて米国経済は深く痛んでいるが、中国経済のほうがさらに心配ではないか」
「中国経済の成長率がこれまでのレベルを大きく下回る場合には、国内の社会的安定を保っていくことができるか・・・・・・これまでの改革開放路線は正しかったのかという声とともに、大きな社会不安が生じる可能性がある。日本にとっても深刻な問題ではないか」
といった趣旨の話しは、冷徹な目で世界の成り行きを見つめてきた同氏の、迫力ある言葉でした。
中国において、経済成長率が8%近傍を下回れば、国内全体に十分な雇用を創出することは不可能であり、格差の拡大を引き起こし、大きな社会不安を抱えることになる・・・・・・このようなことはこれまでも繰り返し言われてきました。国際通貨基金はさらに低い成長率、5%程度になる可能性を指摘しています。
折りしも18日、中国においては、改革開放路線についての30周年記念式典が行われ、胡錦涛国家主席が1時間半にわたる演説を行い、ある意味それは国内への「引き締め」のメッセージとも受け止められるものだったと思います。
中国の社会的安定性は、日本にとっても大変大きな課題です。そして、新しく立ち上がるオバマ米政権にとっても。
オバマ政権は、間違いなく中国に対して為替(元)の切り上げと、強力な内需拡大策を求めるでしょう。10年以上前のクリントン政権において、当時のサマーズ財務次官が日本に対して、財政出動による内需拡大を激しく求めたのと同じように。
メンツを重んじる中国が、あからさまな米国のそのような経済要求を受け入れるのか。そして、高い経済成長は維持されるのか、社会的安定は守られるのか。世界中が見守らざるをえません。
コメント
コメント一覧 (2件)
上昇志向が強く、供給側の労働生産性上昇も、需要側の住宅や耐久消費財や教育需要も、どちらも高い中国と、
派遣先の都合で使い捨てられるので、労働生産性が上昇せず、若い人に結婚・子供・住宅・子供の教育などの将来設計が描けないため消費需要が盛り上がらず、医療不足から平均余命の低下も予想される日本と、
どちらがより心配でしょうか?
だからと言って外国人を移入しても、その社会的コストは、日本人を増やすよりも高く付きます。
労働者派遣法はすぐに廃止しましょう。諸悪の根源です。
長い目で見れば中華人民共和国は崩壊した方が世界の為です。世界に番長は2人も要りませんし、中共が崩壊しても中国はなくなりません。ただ急な変革はリスクを伴いますから、なるべく緩やかに崩壊していただきたいと願う次第です。その為にやむなく援助をするなら、IMFなどの国際機関を経由すべきです。中国人とビジネスで直接付き合って成功している人は、彼らの嘘、騙し、裏切りを織り込み済みで行動できた人だけです。