安倍総理が自民党の党大会で、憲法改正について、自衛隊の隊員募集に関して6割の自治体が協力をしていないとして、この状況を解決していくためにも憲法9条を改正して自衛隊を憲法上位置付けるべきだとしました。
同じ主張を、安倍総理は施政方針演説でも言っていましたが、私には疑問点があります。
この、自治体の協力が得られていないこととは、隊員募集に関する住民基本台帳情報の提供のことです。自衛隊から、新規募集にふさわしい18歳から26歳までの住民の情報提供を求めらている自治体のうち、4割の自治体はその年齢層の方々の住所、氏名などを抽出して印刷して自衛隊に渡しています。
残りの6割の自治体は個人情報保護の観点から、抽出して渡すのではなく、閲覧という方法で協力しています。
これを全自治体が抽出して印刷するという方法での協力ができるようにすべし、というのが安倍総理の主張です。
ただ、私に言わせると、これを可能にする方法は憲法改正ではありません。
確かに、自治体の皆さんが自衛隊員の募集にに対してしっかり協力できるような仕組みを国としても整えていくことは重要です。しかし、それを本当に実現するために必要なことは、憲法改正ではなく、自衛隊法や住民基本台帳法などの既存の法律の改正です。
法律改正を訴える前に、憲法改正を述べる安倍総理のあり方は、国民の皆さんに対して、真っ当な憲法改正論議を提示しているものとはとても言えません。おそらく連休明けの国会でも取り上げられていくことでしょう。