今国会では、農地法の改正が大きな論点として上がっています。
農業を続けていきたいけれど、所得はあがらず、後継者も続かず、結果として耕作放棄地が増加している現状。どうにかして農地の流動性を高め、農業を続けていくことのできる土地制度を作っていこうというのが検討のきっかけでした。
これまでの制度からの改正点としては、貸借の場合には、「農業に常時従事している」とか、「農業生産法人である」とかの条件は付けず、適切に農業を行う見通しである場合には、利用権を認めようという点が大きな点。具体的にはここが大きいのですが、一番大きな改正点は第1条の目的規定。これまでの「耕作者が農地を所有するのがもっとも適当」といういわゆる「耕作者主義」から抜け出して、「農地を効率的に利用する者が農地の権利を有する」という、「利用者主義」とでも言えるようなものに改定しようというものです。
長い間、日本の農地制度、そして農業制度の基本であった「耕作者主義」を変えようというのですから、国会内でも大変な議論になっています。
私自身は、「耕作者主義」を前提としつつ、これに修正を加えたような第1条=目的規定でもいけるのではないかと思っているのですが、今後の国会議論次第です。
それよりも、私として問題にしたいのは、今耕作放棄地が増えているのは、農地法の問題なのかということ。農地法を改正し、規制を緩和して貸借で参入する仕組みを作れば、それで自動的に農業への参入は増えるものなのでしょうか。むしろ、今の農業において耕作放棄地が増えているのは、参入障壁があるからではなく、所得が上がらないからなのではないでしょうか。であれば、まずは所得を向上させる取り組みを真剣に考えるべきではないでしょうか。
参入障壁を下げる今回のような提案は、私自身はそんなに異論はありません(もちろん地域農業と整合的に行われるというセーフガードは必要ですが)。しかし、参入規制の改革が全てを解決するというのは誤りで、私は「所得政策」にもっと目を向けるべきだと思います。
コメント
コメント一覧 (2件)
民主党の山岡賢次国対委員長は8日、国会内で開かれた国対役員の会合であいさつし、政府・与党が追加経済対策で「子どもと家族応援手当」の創設を検討していることについて「一言で言えば自公『パクリ』(盗作)政権。恥も外聞もなく、民主党が政権を取ってやらんとしていることをパクりまくっている」と批判した。民主党は一昨年の参院選以降、子ども手当創設を党の政策の柱に掲げている。
と、時事通信からニュースが配信されました。
自民党の案にはとにかく反対の(国籍改悪法は除く)民主党ですが、この発言は自分たちの案を自ら反対しているという事を言ってるんですよね。
本当恥ずかしいです、山岡賢次氏におとなしくマルチ商法推進だけを粛々と進めるようお伝えください。
専業農家で生きていけるような仕組みが出来れば一番良いですよね。
僕の実家は「ザ・農家」と言えるような農家でしたが、20年ほどが経過した今、もう農家をやってません。
農業じゃ食えないから、農地を売って生きていく、という状態になってしまいました。
僕自身、昔は農家をやるのもいいかも、とか思いました。
仕事はたしかにキツいものがありますが、それでも何かを作り出す、というのは楽しいものでしたから。
結果的に農地がなくなってしまった今、地面を借りてまで農業をやろうとは正直思えません。
専業で生きていける農業、という根底的な仕組みがあると、もっと農業を「仕事」として考えてくれる人が増えるかもしれません。