100年に1度と言われる経済危機に対して、各国が軒並み、大胆な財政、金融政策をもって対応してきました。
危機を乗り越える方向が見えてきたかどうかまだ明らかではありませんが、各国では既に出口戦略の議論が始まっています。
急激に広がる危機に対して、迅速にかつ大胆に、財政、金融政策を総動員して対応することが求められました。しかし、それは将来に向けて例えば財政赤字、インフレへの懸念といった不安の芽を残します。財政赤字への市場の懸念から、長期金利の急上昇を招いたりすることはあってはなりません。ですから、今のうちから、いつどのような条件下において、どのようなステップで、拡大的な財政、金融政策を平常化し、健全化させていくのかという道筋を示しておくというのが、この出口戦略の目的です。
日本の今年度予算は、補正を含めると100兆円という極めて巨額な、景気刺激的な予算となりました。来年度に向けて、この出口戦略をどうするのか、極めて難しい問題です。一気に通常の年のような85兆円規模の予算に戻すとすると、対GDP比で3%もの急激な緊縮型の予算となります。一方、現在の日本の税収の状況を前提とすると、例年規模を上回る額の予算を作ることは非常に難しい状況です。
このジレンマをどうするか。今日、政府与党は、来年の概算要求基準を例年比+1兆円ということで決定しました。ポイントは「時間軸」という要素を加えて考えていくことだと思います。
経済政策の世界では、何かを始めるときの戦略よりも、出口戦略の方がより難しいということをよく言われます。まさに今そのような状況です。
コメント