「合議」・・・・「ごうぎ」と読むのではありません。「あいぎ」と読みます。霞ヶ関の官庁用語です。
霞ヶ関では、法律案を作ったり、あるいは法律以外の政策を作ったりする際には、必ず関係する役所間全体で、この「合議」が行われます。
そこで、各省ともそれぞれの観点から問題となる点は精一杯主張し、各省合議が激しく行われます。私も役所勤務時代、このような各省合議のために、徹夜作業をしたことが何度もあります。担当官は各省の利害関係を背負って交渉しますから必死です。
霞ヶ関の中だけでこのような合議を通じて調整が行われるわけですから、出てくる政策は、もちろん「政治主導」ではないし、前例踏襲的なものになりがちです。
このような各省合議を十分経た上で整理された案件がずらりと並ぶのが「次官会議」であり、その上の「閣議」でした。実質的な議論がそこで行われるわけではありません。したがって、次官会議がなくなったことをもってして、すぐにそれで政治主導になるわけでありません。
閣議に上がる前に、各省が上述のような各省合議で整理しきってしまえば、「政治主導」はあり得ないわけです。
もちろんこの各省合議には、必要性も十分認められます。政府全体として整合性のある政策を作るには不可欠です。問題はそのバランス。
本当に政治的な判断が必要な案件について、官僚の側で整理しきってしまわないで、閣僚委員会や閣議、あるいはその他政治家同士で意思決定するような場に上げてそこで決着するような仕組みを作っていくことができるか。

