「外交」とは何か。外にある国との間で丁々発止のやりとりを行うこと、これが外交だと一般的には言われるのでしょう。しかし、私はもう一つの面があると思っています。
それはすなわち、国内対策です。
外国とのやりとりが外交のメインの活動であることはその通りですが、国内世論が外交について何を考え、何を思い、どう反応するかという要素も極めて重要です。
国際情勢、相手国の情勢などについて、適切な情報を国民に提示し理解を深め、正しい認識のもとに世論を形成するような方向に仕向けていく努力も、外との関係に勝るとも劣らず重要だと思うのです。
今回の中国との問題についても、例えば先週金曜日に船長釈放のニュースが飛び込んできたときに、それがあまりに唐突だったがゆえに、国民の皆さんの反応もより大きなものとなってしまっているという面もあったのではないでしょうか。
事の成り行き、見通しについて、もう少し丁寧な政府側からの説明なりがあったなら、別の展開もあったかもしれません。
私もこれまで少なからず国際交渉に携わってきました(経済問題が中心でしたが)。その経験からしても、外国とやりあうことと同様に、国内に向けてどう説明していくかの重要性も痛感します。