少し前から新興国市場が荒れています。新興国の通貨安。各国はインフレに苦しみ、金利を引き上げてそれに対応しようとする中で、景気後退がさらに追い打ちをかけます。
米国の中央銀行がQE3と言われる超金融緩和政策を次第に弱め、正常な状況、すなわち「出口」に向かい始めました。その結果、ドルが流入して潤っていた新興国市場が一気に逆向きに資金流出にさらされているわけです。
これは超金融緩和政策からの「出口戦略」の実行がいかに難しいかを如実に物語っています。
そのことは日本においても然り。仮に日本銀行が思い描く通りにデフレから脱却し物価が上昇し始めた時に、通常であれば金利も上昇し始めます。しかし、一方で日本銀行はこれまでの超金融緩和政策を通じて大量の国債を保有しています。金利が上がれば、その国債の価値は下がり日銀の財務状況は大きく傷つくことになります。
物価が上昇しながらも、金利を高騰させない。そんな魔法みたいな「出口戦略」があるのか。これがアベノミクスがかかえる大きなリスクのひとつ。
国民への明快な説明が求められます。