21年度予算案についての衆議院予算委員会、基本的質疑が続いています。
昨日の細野議員に続いて、今日は民主党から前原、馬淵、長妻、菅の各議員が質問に立ちました。
前原議員から、道路特定財源の一般財源化について、これまで福田前総理から始まって、今の麻生総理まで、本当に一般財源化を行うかについて発言がブレ続けていることを指摘されたときの麻生総理の答えは、「一般財源化はちゃんと行っている」というものでしたが、その際の発言に私は違和感を覚えました。
「歳入面の一般財源化はちゃんと行っている。その上でその資金をどういう使途に使うかはまた別の問題」という趣旨の発言でした。
一般財源か特定財源か。これはまぎれもなく使途、つまり歳出先があらかじめ特定されているか否かということであり、まさに歳出面の問題です。ですから「歳入面の一般財源化は行っている」という発言は、事の本質を理解しているかを疑わせる発言です。大変違和感がありました。
馬淵議員は道路問題に絞っての質疑。ご本人は「今ひとつでした」と反省されていましたが、私はこの質疑、すごいと思いました。
何がすごいかというと、その綿密な準備、詰め。彼が示した資料の中で、昨年秋に政府がやっと出した、道路に関する新需要予測をもとに、独自に平成20年度直轄道路改築事業について、費用便益分析をやり直してみたらいったいどれだけの事業が見直し必要ということになるかという分析をしたものがありました。これにはどれだけの時間と労力がかかったことか。
昨年のいわゆる「道路国会」の中で、政府の道路需要見積もりがいかに甘いかが明らかになりました。それをうけて、渋々政府は新しい需要予測を作ることになったのですが、それを作ったところで、政府は本当に新需要予測(当然これまでの予測より下ブレしています)を踏まえて、道路建設計画を見直しているのか、今後見直していくのか、大いに疑問です。
この点を馬淵氏は指摘したかったのですが、それを示すために、平成20年度直轄道路改築事業を取り上げ、全768事業について、新需要予測に照らせば費用対効果が1を下回るのがどれだけあるか、ひとつひとつ自分で手計算したわけです。その結果、全768事業=1.3兆円の予算のうち、約1000億円相当の事業が要見直しであることを指摘しているわけです。
今日の彼の質疑は、確かに「爆弾質問」のような派手さはなかったけれど、政府がやるべきことをしっかりやっていないことを、膨大な資料の積み重ねを持って指摘しているわけです。
私も2年間予算委員会メンバーを務めましたが、大変重要な委員会であり、準備には膨大な時間をかけました。その重圧はよく分かります。今日の馬淵氏の真摯な取り組みには、私は感銘を受けました。
コメント
コメント一覧 (5件)
民主党の粘り強い追及に拍手を送ります。
道路特定財源の一般財源化には私は反対です。と言うより一般財源化できるくらいなら、該当する税を撤廃するのが筋でしょう。道路財源を名目に徴収している税だからこそ、車の所有者にのみ多重税がかけられる不公平にも、皆さん納得してきた訳でしょう。道路行政の無駄や不正を追及するのは無論大賛成なのですが、昨年の道路国会でもこのあたりはサラリと流され、上記のような大元の筋が通されていない気がしてなりません。
TK43様
なるほど賛成。いわれて見ればごもっとも。
予算委員会の盛り上がりへの評価はここでも高いですね。
http://diamond.jp/series/uesugi/10064/
道路特定財源の一般財源化が福田内閣より後退したのは誰の目にもあきらかです。道路族に阻まれて後退した挫折感は自民党の改革派若手に強いですからボディーブローになるでしょう。
>TK43様
確かに不公平な重税ですが、財政赤字を多少とも縮小するためにも、化石燃料から自然燃料への移行促進のためにも、環境悪化を多少とも防ぐためにも、タバコ税や酒税とともに甘受しませんか? 小生も車派ですが。
ついでに言えば、宗教法人への課税と、パチンコへの重課税をお願いしたいものです。
予算委員会で前原氏が首相を詐欺師呼ばわりして叱責されてましたが、道路行政に使うと言って創設した税を、他目的に勝手に転用するのも詐欺ではありませんか?一般財源化で筋を通すのであれば、自動車関連の国税全体をいったんチャラにして、出来るだけシンプルな形で新たな税制を創設すべきです。その結果支払う額が変わらなくても構いません。しかし一般財源化したところで、使うのは結局他省の官僚なんですが。