米国政府による、米国大手銀行19行の健全性査定作業、いわゆる「ストレステスト」が行われていますが、その結果が、まもなく発表されます。
いわば政府による「格付け」と言っても過言ではない手法であり、銀行によっては、政府から「この銀行は危ないですよ」というシグナルを発することになるわけですから、大変緊張感のある発表になります。
米国ではこれまでも、政府が、自分の手による銀行の検査結果を発表するということを行ってきました。他方、日本は、金融庁による検査結果は絶対に発表しません。特に銀行の資産の健全性にかかる部分については、「風評被害を招く可能性もある」という理由で公表しません。
しかし、よく考えると同じような公表を米国政府でもやっている中で、なぜ日本が出来ないのか、「風評被害があるかもしれない」という理由だけでは説明しきれないでしょう。私が金融庁で仕事をしていたとき、内部的には、例えば大括りな方法であれば、各銀行に対する検査結果を発表できないかと検討したこともあります。これは「金融検査評定制度」として結実しましたが、個別の評定結果は公表されません。
私は、かねてから、日本においても検査結果を何らかの形で公表できるようにすべきだと考えます。そのことが、銀行の健全性の向上のみならず、金融庁の検査実務そのものの質の向上にも結びついていくのではないかと考えるからです。



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