諫早湾干拓問題について、歴史的決断がなされました。2年前の佐賀地裁での開門判決を維持した福岡高裁判決(12月6日)に対して、菅総理は今日、最高裁に上告することをせず、開門を行うことを決断しました。
農林水産省は、当初から、開門の方向性は示しつつも、裁判については上告することを考えていました。菅総理はこの考えではなく、上告しないという決断を行ったのです。これによって判決は確定し、3年間(以内)の準備期間ののち、5年間の開門を行っていくことになります。
私としては、高裁判決が出るずいぶん前から、農水省の政務三役はもとより、総理官邸に働きかけを行ってきました。開門を決断するには今しかないと思っていたからです。高裁判決以降、さらに官邸への働きかけを強めてきました。官房長官や官房副長官、そして総理に対しても、上告せずに開門を決意してもらえるように・・・・・
今週に入ってからは、相当緊迫感のあるやり取りが官邸との間で行われました。そして迎えた今日朝の、菅総理のもとでの協議。
上告を行いつつ開門をするという考え方と、上告も行わないで開門を行うという考え方との間で、菅総理は上告を行わず、開門を確たるものとするという決断を行ったわけです。
私も、国会議員になってからこの5年強。佐賀地裁での裁判の原告のひとりとして、開門を求めて闘ってきました。長い期間だったように思いますが、潮受け堤防が締め切られた1997年以降、ずっと有明海の海況異変に苦しみ続けてきた、そして闘ってきた漁業者の皆さんの苦しみを思うと、比べようもありません。
その長い闘いの中で、何人もの漁業者の方が、将来を悲観して廃業し、若者は町を離れ、自ら命を絶つ人たちも多くいました。
今日、やっとその過去を断ち切って、有明海の真の再生を実現していく光が差し始めたと言えます。
もちろん、地域の全ての人たちに理解と納得の得られる道筋でなければなりません。その意味で、長崎で、営農や防災への影響を懸念される方々に対して、万全の対策をとっていくことが極めて重要です。
さらなる道のりが目の前にあります。