日本銀行は、今日の政策決定会合で、注目された「追加緩和」を見送りました。
昨年秋の「バズーカ緩和」の再来になるかと注目されたのですが、それはありませんでした。あわせて決定されたのは、「2パーセントの物価上昇目標」の達成時期を、これまで「16年度前半」としていたのを、「16年度後半」に遅らせたこと。
私はそもそも、バズーカのような追加緩和は既に不可能になっていると思っています。
昨年秋の追加緩和で、日銀の年間の長期国債保有残高の積み上がり目標は、50兆円から80兆円に引き上げられました。その結果何が起こったか。今や、毎月財務省が新規に発行している国債とほぼ同等の額を、日銀が市場から買い上げている状況が続いています。
したがって、追加緩和をすると言っても、ほとんどその余地はないに等しい。
にもかかわらず、追加緩和がありうるかのごとく市場に期待感を与え、さらには実現不可能であろうとほとんどの市場参加者が思っている2パーセント物価上昇目標を相変わらず掲げ続けているのは、日本銀行の信認を傷つけることにしかなりません。
2パーセント物価上昇目標を達成した後の「出口戦略」の難しさが言われた時期がありました。私も予算委員会でそのことを指摘したことがあります。
しかし今や、日銀の信認を著しく傷つけることなく2パーセント物価上昇目標をどうおろすのか、という意味での「出口戦略」を考える時期に来ているのではないかと思います。