またしても、安倍政権による強行採決。今度は衆議院厚生労働委員会での年金カット法案の審議においてでした。
年金は、物価が上がればそれに連動して上がるもの。それがこれまでの仕組みでした。これに対して今回の年金カット法案は、物価が上がっても、賃金レベルが下がればそちらに合わせて年金をカットするというもの。年金制度の根幹に関わる大転換です。
政府は、デフレ下の現在において将来世代の年金を確保するために必要だと言いました。しかしこれ全くのデマカセ。
2年前、政府は現在の年金制度の将来にわたる財政検証を行いました。その際、今後何十年間にもわたって賃金レベルが毎年2パーセント台から4パーセント台で順調に上昇していくという見通しを示し、それを前提に「年金制度は100年間安定的」と国民に説明しました。
もしそれが本当なら、今回のような賃金レベルが下がる時に年金をカットする法案は全く必要ありません。実は政府は、今後賃金レベルがそんなに順調に上昇していくとは本音では考えていないのだと思います。だからこそ今回のような法案を出してきたのです。
もしそうであれば、楽観的な賃金上昇の見通しを前提に「100年間安心の年金制度」というのは撤回すべきであって、それをしないということは、実は安心ではない年金制度を「安心ですよ」とウソの説明をし続けていることになります。
年金制度に対するこの不誠実な態度こそが将来世代の年金を危うくしています。
私たちは、2年後にやってくる次回の年金財政検証に合わせて、正直な賃金上昇見通しをベースに抜本的な年金改革を行おうと提案しました。それが本当に、将来世代の年金を安心にする道です。しかし安倍政権はそれを拒否しました。
拒否するのみならず、今日、審議を強引に打ち切って強行採決しました。
安倍総理自身は、自分の将来の年金を心配するなどということはないのかもしれません。多くの国民が抱く、年金に対する切実な不安を全く無視する強行採決でした。言語道断です。