黒川東京高検検事長の定年延長に関して、これまでの法解釈を変更して、検察官も定年延長ができるようにしたから適法だと、森法務大臣は国会で答弁しています。
今焦点が当たっているのが、その法解釈変更は、黒川氏の定年延長を閣議決定する1月末までの間に、本当に行っていたのかということ。
いつ法解釈を変更したのかが分かる資料を示すべしと、予算委員会理事会で私たちから求めていました。昨日、法務省と人事院からペーパーが出てきましたが、それらは日付がどこにも見当たらない、およそ行政文書とは言い難いようなものでした。そこで昨日私から、日付の分かるものを提出するようにと要求。
加えて、昨日の予算委員会での質疑で小川委員がこの件を取り上げました。その際、法解釈の変更に関して「ちゃんと決裁を取っているのか」と小川議員が問い質したことに対して、人事院は何と「決裁は取っていない」と答弁し、一方森法務大臣は「内部で決裁は取っている」と答弁しました。
そして迎えた今朝の理事会。日付の入ったペーパーが出てきました。が、それは単に昨日のペーパーに「1月22日」、「1月24日」と後付けで書き足しただけのもの。日付の「証拠」にはなりません。
そこで今日の昼の理事会に、法務省、人事院に説明に来てもらいました。
説明を聞くと、法務省から「決裁は口頭でしか取っていない」と、驚きの説明が飛び出しました。「口頭の決裁」などというものは霞ヶ関には存在しません。したがって、昨日の森法務大臣の「決裁は取っている」という答弁は虚偽だったということになります。とんでもないことです。
さらに両役所に、本当に決裁文書以外に日付を証拠として確認できるペーパーでの資料はないのか、と確認したところ、両役所とも「無い」と断言。
これも極めて怪しい答弁です。私も霞ヶ関で長く働きましたが、ある資料をペーパーとしてまとめた時に、日付を入れないということはありません。それが「霞ヶ関」の「役所仕事」です。
ますます怪しい。すなわち、法務省は本当は解釈の変更を、1月末までに正式には行なっていなかったのではないか。今月に入って、国会で取り上げられ、答弁に窮したので、遅ればせながら「解釈を変更した」という、後付けの説明を作り上げたのではないか。
もしそうであれば、政府、法務省は、法解釈の変更もしないで、すなわち「違法」な状態のままで黒川氏の定年延長を閣議決定したことになります。
この疑念を晴らすには、法務省等は日付けの入ったペーパーをしっかり示すしかありません。それが来週、できるか。厳しくチェックしていきます。