九州新幹線長崎ルートの最近の展開については、12月17日のこのブログにも書きました。その中で、何が「経営分離」にあたり、何がそれにあたらないかをしっかり判断しなければならないということを書きました。なぜなら、「経営分離にあたらない」ということであれば、関係する市町村は新幹線問題について意見を言う権利はない、ということにされてしまうからです。
さて、この点を明らかにするために、政府に対して「質問主意書」という形で公式答弁を求め、今日答弁書が提出されてきました。質問主意書というのは、政府に対して公式見解を求める方法であって、国会答弁などと同じような機能を果たします。その答弁書は閣議了解を経て出されるからです。
私が質問主意書の中で質したのは、まず、「何がそもそも『経営分離』というものなのか」という根本論でした。これに対する答弁書での政府の答えは、
「1.『並行在来線の経営分離」』については、整備新幹線の整備に当たり、建設着工する区間の並行在来線について、当該区間の開業時に旅客鉄道株式会社の経営から分離することを指すものと理解している。」
何も答えていないじゃないか、と思わず声を上げてしまいたくなるような答えでした。
二問目、三問目として私が質したのは、すなわち、今回の佐賀県、長崎県、JR九州の三者合意の内容が、「経営分離」にあたるのか否か、理由も付して答えてください、というもの。これに対する政府の答えは、
「2及び3.佐賀県、長崎県及び九州旅客鉄道株式会社の間で「三者基本合意」がなされたことについては承知しているが、『三者基本合意による枠組み』の詳細については、三者で現在調整中であり、承知しておらず、お尋ねの点について現時点でお答えすることができない。」
最後の質問は、そもそも新幹線を作る際には、「経営分離」にあたってもあたらなくても、何がしかの影響を受ける地方の皆さん、地方公共団体の皆さんの意見をよく聞いて不便にならないように行うべきではないですか、というもの。これに対する答えは、
「4.『整備新幹線の取扱いについて』(12月16日政府・与党申合せ)において『並行在来線の経営分離についての沿線地方公共団体の同意』が整備新幹線の着工の基本条件とされている趣旨を踏まえ、適切に対応してまいりたい。」
どの答えも、まさに木で鼻をくくったようなもの。「経営分離」にあたるか否かという、一見テクニカルにも見える決定が、実は影響を受ける地方公共団体の皆さんが意見を述べる権利を持てるか否かと直結するという、切実な問題であることへの配慮は感じられません。
特に、一番目の問いで、「経営分離とはそもそもその何か」と問うていることに対して、「経営から分離することだ」としか答えていないというのは、まさに答弁拒否に近いものがあります。
おそらく、政府は最終的には、JRの収支採算性、あるいは運行の本数、運賃など運行のあり方を総合的に判断して(よく政府が使う言葉です)、経営分離にはあたりません、などとった獏とした言い方で説明してこようとするのではないかと思いますが、もしそうであったとしたら、住民に対して大変冷たい説明だと言わざるをえません。
繰り返しますが、この問題は何が「経営分離」であるかという、一見テクニカルな問題に見えます。しかしその結論次第で、影響を受ける地方公共団体が新幹線問題について、意見を述べる権利を持てるか否かという、大変切実な分水嶺を画します。
この答弁書のやり取り、さらに突っ込んで説明を求めて、地方に納得のいくものとなるのか、究めていきたいと思います。
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