来年度予算の概算要求基準が策定されました。
しかしこの内容を見てみても、国の予算配分が、最近の大きな社会構造の変化に対して柔軟に対応し、変わっていく姿は見えません。
概算要求基準に関する閣議決定文を読むとすぐ気づくのが、「前年度予算に対して」という趣旨の言葉が随所にならんでいること。前年度からほんの少しずつ削ったり、増やしたりすることで予算が作られている様子がよくわかります。
重点的な予算配分を行うため、という趣旨で作られた「重点課題推進枠」もその規模は約3000億円。80数兆円の総予算規模に対して、柔軟に配分を変えるための枠がたった3000億円ということです。
このような、前年を基礎として翌年の予算を考えるやり方を、財政学の言葉では「増分主義」と言います。
今までの日本の予算編成においては、この増分主義の考え方から抜け出せていないことが、社会の変化に対して柔軟に予算配分のあり方を変えることができず長年経ってしまっていることにつながっていると思います。
概算要求基準とは、技術的な、予算編成上の道具です。しかし、それが日本の予算のあり方を大枠で決めてしまっているような気がします。
コメント