大震災による原子力発電の事故を受けて、今後巨額の賠償責任が、東京電力に発生します。この賠償責任を東電がどこまでどのように負うのか。東電が負いきれない場合にはどうするのか。
この賠償に関するスキーム作りが政府において進んでいます。
東京電力の6月末の決算に間に合うようにというタイミングで考えると、このスキームを連休明けにも示していかなければならないということのようです。
しかし、私はこのようなペースで議論が進むことに危惧を抱きます。なぜなら、この賠償額が巨額になることが明らかであるので、なにがしかの形での国民負担の増加は避けられません。その不可避な国民負担に対する十分納得のいく議論が、国民の理解を得る形で進んでいるかというと、そこが心配なのです。
現在は、決算期に間に合うようにというそれだけの理由で、拙速の議論が進んではいないか、そんな感じがします。
監査法人との間でも、今しばらくの時間はあると思うし、さらには、今回金融庁は、上場会社で震災のために6月の決算期を予定通り迎えることが難しい場合には、これを延期できる仕組みを導入しています。東電の場合、まさにこのような要件にあたるのではないでしょうか。
国民全体の負担増になるということに鑑み、十分な議論が政治的にも必要です。