先にこのブログにも書きましたが、コメをはじめとする穀物など、農産物の世界価格の急上昇が続いています。
その中で、国の食料安全保障は大丈夫なのかという議論がかまびすしい昨今です。なぜなら、日本の食料自給率はわずか39%。今後ますます世界の食料需給が逼迫していくとすると、本当に心配なレベルです。
農水省から、世界の穀物市況の逼迫の状況などについてヒアリングを行いました(写真)が、政府も今の穀物市況の逼迫については、一時的なものではなく、中国やインドなど、規模の大きな途上国の食生活が近代化してきていることなど、構造的な要因が大きいと見ているようです。
であれば、日本の中で日本人が必要な食料をどう作っていくのか、食料自給率をどうやって高めていくのか。
農水省にこの点の説明を求めると、コメ粉の利用などコメ需要の拡大をはじめとして、ずらりと食の「需要」をどう変えていくかという面の施策が並びます。確かに、この何十年と日本国内で自給しているコメの需要が下がってきており、このことが全体の自給率を低下させています。ですから、コメの需要拡大に取り組むことは重要なことです。
しかしながら、食料「供給」側の施策はどうなのか。すなわち日本人が実際に食べているものを、日本国内で作れるようにする供給体制をどう作っていくかについての施策は、極めて手薄な感じがします。
加えて、先に導入された品目横断的経営安定対策のもとで、多くの農家は農業を継続していくことがどんどん困難になってきています。供給側の施策としては自給率を上げる方向になっているとはとても思えません。
「自給率」ですから、本来であれば、国民が食べているものをどう国内で供給していくかという議論がまずあってしかるべき。しかし現状はそれとは逆向きです。そんな中では自給率の向上は極めて困難と言わざるをえません。
コメント