今週末、米国では各国首脳による「金融サミット」が開催され、麻生総理もこれに出席しています。
報道によると、麻生総理はこの会議において、国際金融システムを強化するための提案として、日本から国際通貨基金(IMF)に対して10兆円、資金を貸し出すことを提案するとされています。
この資金は、おそらく外国為替特別会計の中の外貨準備=約100兆円の中から出て行くのだと思いますが、この提案をするのであれば、非常に重要なポイントがあります。それだけの資金提供をするのであれば、それに応じた日本の発言権の拡大を同時に獲得しなければならないということです。
IMFは経済危機に見舞われた各国に対して資金支援を行いますが、この原資は、各国からIMFに対して貸し付けられた外貨準備、約3200億ドルを利用して行われます。IMFのもともとの「運転資金」も、各国の外貨準備からの貸付なのです。
各国からのIMFへの外貨準備の貸付額は、どうやって決まっているかというと、各国の経済規模などを勘案して決められています。日本は米国に次いで第二位の出資国。そして大事な点は、この貸付額の大きさにしたがって、IMFによる意思決定の際の発言力の大きさが決まっているということです。すなわちこの貸付額の大きさにしたがって、IMFの最終意思決定機関である「理事会」での「投票権」の大きさが決まっているのです。
したがって、今回もし本当に、日本の外貨準備から10兆円をIMFに追加的に貸し付けるのであれば、その分発言権・投票権が増加するというのがスジです。
加えて言えば、最近経済成長著しい他のアジア諸国も、IMFに対してより大きな資金貸し付けがゆるされ、それに伴って発言権が拡大されるべきです。
国際金融システムの強化に向けて、日本がそのようなスジの通った主張をし、結果を勝ち取ることができるか。頑張りどころです。
コメント
コメント一覧 (4件)
そのとおりだと思いますこれだけ出資するわけですから発言力を大きくするのは当然で各国も文句はないと思います
仰るとおりだと思います。
出資に見合った発言力を獲得しなくては、国民に申し訳が立たないでしょう。国連でも同様に。
お金だけを拠出する日本とは是非ともオサラバしたいものです。
中国やインドや産油国も出資する以上は発言権や理事枠を求めるでしょうから、日本としては、彼らとの広範囲でタフな英語での議論のできる体力ある国際金融専門家を、複数(理事枠複数になるはず、譲らず受けること)、人選しておく必要があります。国会議員との兼務も可能なように法律整備した上で、大串先生もいかがですか?
今後のことを考えても、国際機関で執行できる人材を大勢養成しておく必要があります。民主党でも内々で早めに人選しておいて、複数枠なら一人は民主党推薦者を入れるべしと交渉するのが良いでしょう。
11月8日の「民主党さが政治スクール」エントリーで前に拝見した写真が消えていたので、こちらへついでに書かせていただきます。
民主党の女性人気が低い理由が、あの写真にも顕れていると思いました。女性がお二人、後列の隅に遠慮がちに写っておられました。
小泉氏や麻生氏が両脇に女性閣僚を呼びこんで内閣発足雛段写真を取らせたように、民主党も有権者の目に見える形で意図的に女性を前に押し出さないと、女性票は取れないでしょう。
形だけという批判はたやすいですが、世の中、形から変わることも多いですよ。女性登用でも、国際機関の理事職でも、アメリカ大統領職でも。