世界的経済危機の中、4月1日、ロンドンにおいて「金融サミット」が開催されます。
色々な課題が議論されますが、そのひとつは国際通貨基金(IMF)の資金基盤拡充。多くの国が今後も危機に直面することが予想される中で、それを支援するIMFの資金を増加させておこうというもくろみです。しかしこれがなかなかな難物。
IMFにおいては、「出資額に応じて発言権を決める」という明確なルールがあります。出資額の多い国ほど、発言権が強いわけです。
その出資額を決めるのは何か。一番大きな要素はその国の経済規模。経済規模が大きいほど出資額も大きくなるわけです。輸出・輸入額など他の要素もありますが、経済規模が最大の要素。
日本をはじめのアジアの国々、さらにはそれ以外の多くの途上国は、比較的近年において大きな経済成長をとげています。したがってそれに応じてIMFへの出資額も引き上げられるべきでした。しかしそれはそうはなっておらず、これらの国の出資額はいまだに経済規模に比べて抑えられたまま。すなわち相応する発言権も与えられていないという状況です。
そこでIMFの資金増強の今回の話し。当然日本をはじめとしたこれらの国は「この機会に、経済規模の相応して出資額を大きく増やして発言権強化を」と主張します。ししかし、旧来からの先進国であった欧米諸国は、相対的に発言権が低下することにつながりますから反対なわけです。いわば、日本を含む途上国VS旧来からの先進国、という構図となります。そういうわけで、なかなか難物の議論となるわけです。
他方、麻生総理は昨秋、日本政府として一方的にIMFに対して10兆円もの資金をIMFに融資することを発表しました。しかし日本は、これに相応した発言権の強化を求めているわけではありません。
IMFの通常の資金増強とは異なる「融資」なんだと、日本政府は説明しますが、それでも「資金支援はするけど口は出さない」という、人のよい日本人の側面がここでも出ています。残念なことです。
コメント
コメント一覧 (3件)
いつものことですが、大串議員の経済、外交に関するエントリーには納得できるものが多くあります。今回の主張も極めて正論かと思います。
そしてまたいつものことですが、大串議員の主張が民主党のそれとして表舞台に出て来ず、我々有権者の耳に入って来ないことを残念に思います。これは民主党執行部がスカなのか、マスコミがスカなのかのどちらかですね。
こういう主張(IMFでの発言力の向上を図る等)がマニフェストに入るようなら、保守層の支持も増えるでしょう。
逆に、先だっても北朝鮮ミサイルの迎撃に反対しまくって、文字通りアカ恥を晒した社民党とつるみ続けるようなら、保守層のみならずノンポリな方々の支持も失っていくでしょう。北朝鮮はテポドンのみならずノドンも発射準備しているそうですから、人工衛星との言い訳ももはや真っ赤な嘘確定です。これでも民主党は頭数揃えの為に社民党とつるみ続けるのですか?
大串さんのご指摘はごもっともだと思います。
しかし、仰るような「金額に見合った発言権の強化」を本当に全く主張していないのでしょうか?例えば、このような問題を官僚時代~現在、そして将来与党議員となった大串さんが主張し日本が強く要求したとして、本当にそれが既得権を持つ国に受け入れられるでしょうか?今迄や今の日本のままで。
小沢さんの御好きな「国連」をご覧下さい。いつまでも日本は「敵」のまま、殆ど変わりません。それなりに日本人各個人は国連の要職に就いたとしても、あくまでもそれは個人であり、日本という国の活躍とは見なされないようで悲しいですね。
私が大串さんのような経済・金融に詳しい方々にお願いしたいのは、単に指摘するだけではなく現実的対策案を示して頂くことです。文句や指摘は私のようなバカでも言えますので、このような歪んだ国際的扱いから自国を救うには何をすればいいのかを少しだけでもご提示下さい。少し踏み込んで主張して頂かないと、仲良し?の北朝鮮とミサイル発射阻止に掛け合うこともできない社民党さんと同じように思います。
千葉県知事選翌日の30日、中国共産党の李長春政治局常務委員と民主党本部で会談した小沢代表ですが、共産党の志位さんでさえ北朝鮮のミサイル対応について話を出したというのに、肝心の小沢代表は経済と日中友好の話のみの記事が出ていますし、民主党HPでも同様ですね。
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200903/2009033000845&rel=j&g=pol
今、政権交代を担える政党として北朝鮮の話抜きの対談(まして中国)は有り得ないと思うのですが、本当に話さなかったのでしょうか?そこに、大串さんは何も疑問をお持ちにならなかったでしょうか?国連・IMF・他国との会談にしろ、タイミングよく突っ込まないと意味ないでしょう?
民主党という枠に収まっている事が本当に惜しい人ですね。