甘利大臣が、デフレ脱却は成功した、という趣旨の発言をしていますが、私はこれは疑わしいと思っています。
政府がデフレ脱却ができている、物価は着実に上がってきているということを述べる根拠として、振れの大きい食料品や外的要因影響の大きいエネルギー価格などを除いた、いわゆる「コアコア物価」で見ても、上昇傾向にあることをしばしば指摘しています。
しかし、コアコア物価についても仔細に見てみると、パソコン、テレビなどの耐久消費財の価格上昇要因が大きいのですが、これらのモノは最近は国内生産よりも、工場自体海外移転していて輸入品として輸入しているものなのです。したがって、これらも円安による国内価格上昇という性格が強いわけです。
トータルとして見ると、やはり今の物価上昇は為替の影響による「コストプッシュ型」であって、モノがよく売れて、したがって賃金も上がって、という「デマンドプル型」ではありません。良い物価上昇ではなく、言わば悪い物価上昇。
アベノミクスについては、世論調査などではいまだに7割から8割程度の方々が「実感がない」としていますが、それには物価に関するこのような実態が背景にあると思います。