「一億円の壁」と言われるものが話題になっています。
金融所得課税の問題点です。株の売り買いや、株からの配当などによる所得に関する所得税の制度が、そもそも大きな問題を抱えていて、年収が1億円を超える層においては、株などで稼げば稼ぐほど、実質の税率が下がるという実態があるのです。
通常言われる「所得税の累進性」とは真逆の効果を発揮しています。
これをあるべき姿に戻すために、金融所得課税を改めようということを、私たちからは、この数年間提案してきました。
岸田総理は、総裁選の際、「1億円の壁の打破」を公約としていました。「分配」を重視するということを言っている岸田氏ですので、順当な主張だと私は見ていました。
ところがその後、この金融所得課税の見直しは、先週金曜日の岸田総理の所信表明演説には、全く言及がありませんでした。
さらに今日、報道番組に出演した岸田氏は、この金融所得課税の見直しについて、当面触らないという考え方を示しました。
このブレは一体何なのか。
「分配」をしっかり行うというのであれば、政府の政策手段の根幹である、税制においても、「分配」と整合的になっているべきです。
一方で「分配」を主張しながら、もう片方で「格差」を拡大するような税制を続けているようでは、全く本末転倒です。
なぜ岸田氏はこんなにブレたのか。自分の考えを貫けないのか。
地元での国政報告会の場でも、この金融所得課税の論点は、やや専門的であるにもかかわらず、「見直しをすべき」という意見も出てきています。