道路特定財源の暫定税率引き下げの問題について、これまで、「ガソリン価格が25円引き下げになります」ということが前面に出てきています。
しかし、ガソリン価格が25円引き下げになるのは、あくまでも正しい税制を行うことの「結果」です。
すなわち、34年前に「道路を作るという目的のため」という限定付きで、暫定的に引き上げられた揮発油税に関する暫定税率です。この道路を作るため、というところが、まさにいわゆる道路特定財源制度です。
私たちが今回提案していることの根幹は、まさにこの特定財源を一般財源化することです。すなわち、税金が入ってくる分すべて道路を作るという、いわば、国民の血税の上に「道路利権」が温存される仕組みを変えていこうということが、まず議論のスタートラインなわけです。そして、「道路のためだけに使う」ということをやめて一般財源化するのであれば、暫定税率をとり続けることは納税者の皆さんとの関係で理屈に合わない、したがって暫定税率は廃止する、ということになるわけです。
どうしても報道などの中では、ガソリン価格引下げの方が目を引いてしまいますが、この問題の本質は、あくまでも国民の血税の上に一部の道路利権が守られ続けている、田中角栄元総理によって導入されたこの制度を変えていこうということです。
もちろん、地方部においてまだまだ生活のために道路が必要なところは多々あります。このようなところは優先的に財政の手当てをしていく必要があります。しかしそのためにも、道路に関する税金のムダ遣いの例も今報道でもたくさん表面化してきているので、これはただしていかなければなりません。
例えば、トンネルの出口ができる見通しがないのに道路を作り始めてしまって、トンネルの出口が結局出来なかったために、その道路は完成しなかった例とか、あるいは道路特定財源であるはずなのに、国土交通省職員の宿舎の費用やレクレーション用具のための費用に使われていた例とか、このような例は多々あります。
このような道路に関するムダ遣い、そしてその裏に潜む道路利権の構造を、税金を納める立場から変えていこうというのが今回の問題の中心眼目なのです。
ところで、与党の方から、法案審議が難しくなるのを避けるために、3月31日という現在の暫定税率の期限だけを、少しの間延長するための法律案を出すべしという「奇策」が検討されているとの報道がありました。これは私たちの税制調査会でも、昨秋議論している際に、与党からの考えられる対応策として議論したことのあるものです。3月31日に暫定税率が切れて、ガソリン価格が一時的にでも下がることを避けるための手段として当然考えられる案です。やはりその手でくるか・・・・・
コメント
コメント一覧 (3件)
今日も、元気にネットサーフィンしてきまして、
面白い動画を見つけましたので、大串議員にお知らせします。
○政治献金パーティー収入から見た民主党の支持母体
http://jp.youtube.com/watch?v=7nGJdY5MIwg
25円下がることは「結果」です、と強調されている通りだと思います。
「結果」に過ぎません。
本来の目的は、34年も「暫定」が続いている税制の異常さとそれを放置している政治の是正ですし、資源配分の決定に合理性だけではなく利権が混在している現在の政治の是正だと思います。
ただ、民主党の国民向けアピールは、大串先生が強調するところとは、残念ながら、異なります。「ガソリン値下げ隊」では、値下げ(しかもそれが値下げと言えるのか?)そのものが目的に見えてしまいます。値下げを前面に出してしまっては、財政規律を顧みないポピュリズムと批判されても仕方ないかもしれません。
民主党は、国民向けアピールの方法を変えた方がいいのではないでしょうか。
研究者さんに半分賛成・半分反対です。
賛成のところ
おっしゃるとおり本質は政治の是正の問題です。
反対のところ
民主党の「生活者目線」という一大PR戦略には「値下げ」という広告の打ち方が路線が統一されていてわかりやすいです。
その上で、また賛成のところ
「国民を第一に考えている民主党」は好きですが、「国民に迎合している民主党」は尊敬できません。
でしゃばってすみません。
失礼ごかんべんください。