衆議院農水委員会で、諫早湾干拓事業問題を取り上げました。税金のムダづかい事業としての側面をしっかりとりあげたかったのです。(写真)
2500億円の費用をかけて行われたこの事業。費用に見合った効果があるかをはかる、いわゆる「費用対効果」は0.8。すなわち費用に見合う効果はなかったということです。度重なる計画変更の末、このような結果となったわけですが、その意味では完全な失敗プロジェクトです。
今日、特に指摘したかったのは、次の2点。
まず、費用対効果のうち、「効果」を細かく分析してみたら、効果のうちの約4割は、潮受け堤防を作ることによって、諫早湾の内側にある堤防が台風などの災害からまもられるという効果だということです。
どこの海も同じですが、諫早湾の海岸線には堤防が連なっています。そして諫早湾干拓事業による潮受け堤防は、そのずっと海側、諫早湾の入り口をふさぐ形で作られています。これを作ることによって、海岸線沿いの堤防が台風で壊れることから防いでいる、という効果だというのです。
すなわち、堤防の外側にさらに堤防を作ることで、内側の堤防が壊れなくなるから、これが効果だ、ということ。こんな理屈あるでしょうか??
この指摘に対して、若林農水大臣は「全く問題ありません」。
第二に指摘したかったのは、諫早湾干拓事業が、なんと伊勢湾台風が来たときに耐えられるように作られており、それが効果として算定されているということ。伊勢湾台風クラスの台風が来た場合に生じる損害を防げるという設計だそうです。しかし、伊勢湾台風クラスの台風にこれまで日本に何回来たことがあるのでしょうか?これを基礎に効果を算定しているということは明らかに、効果のかさ上げがなされています。
この指摘に対しても、若林農水大臣は「問題ありません」。
この感覚には私は本当についていけません。
近傍の漁業者の方々が切に願っていらっしゃる中長期開門調査についても、これまで通りの答弁を繰り返し「予期せぬ問題を生じる可能性があるからできません」という答え。農水省に対してこれまで「予期せぬ問題とは何なのだ」と説明を求めても、「予期せぬとは予期できない」といったような、禅問答のような答えが返ってきます。
普通の人間の感覚とは思えない感覚で行政が進められている。その結果、人々の人生が狂わされ、生活が破壊されている。それが諫早湾干拓事業の本質です。
コメント
コメント一覧 (2件)
大臣は、官僚や過去の行政から一歩引いて、自分の考えで喋らないといけないはずですが、農林水産大臣はそうではないようですね。大臣は一体何のために大臣をしているのでしょうか。これは、国土交通大臣をみていても思います。
諫早湾に関しては、冗談ではなく、東京海上日動か損保ジャパンあたりに「諫早湾に伊勢湾台風級の台風が来たときの該当地域の損害額と、その損害を賠償するための毎年度の損害保険料」を算出して貰ったらどうでしょうか。
もっとも、住民の人は、そんな損害への備えなど望んでいないと思われますが。
若林大臣が私の息子だったら、ぶん殴ってやりたいですが…。
やっぱり声をあげて、政権交代をする他ないです。 説明責任できない大臣は大臣失格です。