経済対策のひとつの考え方として、「15ヶ月予算」なるものが報道されています。
それが実現するかはまだわかりませんが、その意味するところはおそらく、①今年度予算はできるだけ前倒し執行し、景気浮揚につなげる、②前倒し執行の結果、予算が息切れする来年1月から3月まではその期間をカバーする補正予算を組んで穴埋めする、③4月1日から来年度予算に切れ目なくつなげる、というものだと思います。②と③の期間、すなわち切れ目ない15ヶ月間を指して「15ヶ月予算」と言われる手法です。
9月半ばから開始する秋の国会の冒頭に経済対策の核たる補正予算を間に合わせるとすると、作業的には極めて難しいものがあります。またその場合には、経済対策の規模(金額)はどうするのかといった、与党内で鋭い意見対立が続いている問題を早急に解決しなければなりません。これも大問題。
おそらく、これらの連立方程式を解くひとつの方法として、「15ヶ月予算」の考え方が出てきているのだと思います。これだと、まず補正予算を組むにしても来年1月までに組んでいけばいいわけです。対策の規模の議論もそれまで先延ばしできます。
しかし、15ヶ月予算なるものが本当に景気浮揚に効果があるのでしょうか・・・・・・これは基本的には予算のうちの公共事業予算による景気浮揚を前提とするものです。「前倒して執行し・・・」と書きましたが、それは通常公共事業予算を念頭に置いています。現下の状況で公共事業の積み上げが、ベストなマクロ経済政策でしょうか。
またスピード感も欠きます。当面の数ヶ月は現予算の執行の前倒しですから、断固とした策をスピーディーにとるというわけにはいきません。
ただし、政治的には大いに意味があるのかもしれません。上述したように、15ヶ月予算であれば、補正予算の編成、そして規模の確定を先送りできる余地が生じます。ひょっとすると与党内で大きな政治的対立を生む可能性があるこの論点を先送りできるということで、与党の主要な人物たちにとってはメリットがあるのかもしれません。
いずれにしても先送りであり、国民にとってはあまりよい手法ではありません。
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