世界の原油価格が1バレル当たり100ドルというレベルを切るところまで低下してきています。
一時期の投機マネーの集中による、ゆがんだ価格高騰が是正されてきているわけで、望ましいことだと思います。
しかしこのように原油価格が下がると、またすぐに「OPEC(石油輸出国機構)が原油減産を決めて、価格を吊り上げるのではないか」との観測が浮上します。
よく考えてみると、このOPECのあり方、いわゆる市場の寡占(カルテル)行為に近いのではないでしょうか。もちろん、近年急速にOPECは世界の原油市場の価格形成に対する影響力を失ってきてはいますが、それでも、このような観測が出てきて、実際OPECが減産を決めれば、世界の原油価格はまた上昇する可能性があるのですから、やはり寡占のような市場影響力があると言わざるを得ません。
一国の経済であれば、このような不公正競争が行われないように『公正取引委員会』なるものが存在し、独占禁止法を用いて、市場の不公正性を是正します。しかし、世界という市場・経済においては、そのような主体は存在しません。
世界経済がグローバリゼーションで一体化が進み、世界経済全体をひとつの経済体として見なければならないような場合が多く出現してきています。それにもかかわらず、世界経済全体を統御する主体、機構、インフラの整備は著しく遅れているのではないでしょうか。
今年の夏にかけて、原油市場に投機マネーが大量に流れ込み、原油価格がバブル的に急上昇したときも、同様の思いを抱きました。このとき、明らかに「市場の失敗」が生じていたと思います。このような市場の失敗が起こらないように、適正な規制を世界的に行う機構は存在しません。
世界的な経済秩序を維持していくための機構、インフラの整備は今や避けて通れない課題となってきているのではないでしょうか。
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