米国で注目されていた金融安定化法。ついに成立しました。このところ市場を激動させてきていたこの法律です。果たして米国金融の状況を安定させることに寄与するでしょうか。
法律が成立したことで、市場に一定の安心感は与えると思います。しかしこれが本当に市場の安定化につながるかは、まだまだ明らかではないと思います。
まず第一に、今回の安定化法案は、金融機関から不良資産を買い取り、切り離すことを第一の目的としています。そのための公的資金は約75兆円という巨額なもの。
しかし、不良債権を切り離したあと、もし不良債権を元の価格より安く切り離すために金融機関に多額の損が生じ、金融機関の資本が不足する場合の対応策は盛り込まれていません。
通常であれば、そのような場合には、公的資金を使った国有化などの方策も一緒に取り入れられるのですが、今回はそれがありません。
第二に、金融機関から不良債権を切り離すときの価格が問題です。納税者に負担が生じることを避けようとするがあまり、非常に低い価格で切り離すような仕組みとなった場合には、この仕組み自体、金融機関が使うのを渋る可能性があります。
このような二点から、今回の金融安定化法が実際に米国金融を安定化させるかを見極めるにはもう少し時間が必要だと思います。
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