米国オバマ政権が、抜本的な金融規制改革案を発表しました。今回の金融危機を受けて金融監督の制度を包括的に見直したものですが、私の眼から見ればやや遅きに失したという感があります。
米国の金融監督の制度は分立型。監督の主体が複雑に入り組んでいて非常にわかりづらいものでした。
米国連邦準備制度理事会(FRB)、ニューヨーク連銀、米国財務省の傘下にある通貨監督庁(OCC)、証券取引委員会(SEC)そして州当局など。
今回このような入り組んだ主体を整理しなおしてFRBに相当程度の集中を果たすことになるようです。
かつて私が財務省に勤務していたときに、「日米保険協議」なるものが行われました。保険業に関する、日米相互の参入の機会について議論した協議です。
米国側は日本に対して、いわゆる「第三分野」(生保と損保の間とも言える保険分野)を含め、規制緩和を通じて日本の市場開放を強く求めてきました。郵政簡保の民営化を強く求めてきたのも同時期です。
他方、日本側から米国の保険業への参入機会拡大を求めると、米国当局からは「保険業の監督は州政府の管轄なので中央政府としては対応が難しい」という回答が繰り返されました。
何とも不思議なこのやりとり。これが実態だったわけです。米国の言うグローバル・スタンダードが、いかにグローバル・スタンダードではなかったかを表します。世界に相対峙していく際に、この経験は肝に銘じておくべきです。
コメント
コメント一覧 (2件)
喧嘩の強い者が正義なんですね。
大方そんなものだろうと思っていましたが、やはり…でしたか。
大串さん、守秘義務もあったでしょうに、教えて頂きありがとうございました。
これからも、出せる話は出して頂けたら…と思います。