公的年金の積立金の運用を行っている年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、2008年度の運用結果を発表しました。約10兆円の損失、運用成績としては利回りベースでマイナス10.93%でした。
もちろん、100年に1度と言われる経済危機に見舞われた市場の影響ですから、そのことを勘案しないわけにはいきません。しかし、国民の老後の生活の安心を支える年金の運用についてですから、やはりこの数字は大変問題です。
なぜこのような結果となったかという点について、私は、国内債券(特に国債)以外のリスクアセットの運用の割合が高すぎるのではないかと思っています。現在、運用先としては、比較的リスクの低い国内債券が全体の7割弱。それ以外は、やはりある程度のリスクを覚悟しなければならない国内株式、外国債券、外国株式などです。
このリスクの高い分野への投資は、かつてはかなり低かったのですが、次第に高まってきています。厚生労働省は、将来の年金の所得代替率=5割を確保するために、将来の年金運用利回りを4.1%という、極めて高い利回りを前提としていますが、このような高い利回りを前提とせざるを得ないことから、リスクの高い資産に向けて運用を増やしていきたいという、無理のある判断がそこに忍び込んでいないでしょうか。
今、国民にとって、年金に求められる機能のもっとも重要なものは、「安心感」であり、「予測可能性」ではないでしょうか。
「将来このくらいの年金が確実に手に入る」という安心感であり、予測可能性。そのためには、私はリスクの高い分野への投資は、もっと下げるべきだと考えています。
抜本的な年金改革案を考える際、最近ではこの運用先の問題は少し後ろにまわっている感がありますが、極めて重要な課題です。
コメント
コメント一覧 (3件)
大串さんが師と仰いでおられる榊原英資氏(Mr.\)が、かつてアジア経済危機に対して「年金原資をアジアへ投入させるべきだ。」と力説されておられたことを覚えております。
その当時、運用必須とはいえ何故に「年金原資」を利用するのか!と憤ったものです。(素人なものですから。)
日本がアジアでの支持を確固たるものにするため、危機を救って良く思われたいためだというお話だったと記憶しております。
確かに、戦略的投資は必要です。
ーが、年金原資を、不安定なアジアへ投入するとの判断は(<市場>なのか<支援>なのか詳しく聞けていなかったのですが)、今も適切だったと言えるのかを教えて頂きたいのですが。
やはり、あの時年金原資をアジアへ放出・投入すべきだったのでしょうか?(実行されたかすら私は知りませんが。)
以上は、民主党云々ではなく、年金運用の話が扱われているので、今までずっと気になっていたことを是非とも教えて頂きたいのです。
かつての榊原氏は、大蔵官僚として他の省の官僚と共に、民放のTVに出られ、財政や年金の形の議論も熱く語っておいでだったと思います。
他の官僚さんよりも、相当偉ぶって人を馬鹿にした発言ばかりで私は大嫌いでしたし、印象としては、いつも論理の後ろ盾が「○○国(米国や欧州各国)ではそうなんだから!」というばかりで、あまり中身のある話はされず、それが元元の判断の基準なのか、それとも素人相手にはわざと話さないのか、感情的にわめき立てる割には…という感じでしたから、その人が数年後、TVをつけると映っており、危機に陥っていたアジアへの年金原資の投入を論じていたので、大変不安でした。
大変優秀な方だとは思いますが、実はとっても不安を抱かせる方でもあると私は感じていますので、なおのこと年金原資の話が気になってしまい、今も尚伺ってみたいのです。
1980年代公社債投信で普通に利回り5%はありました。金融自由化などといって今の利率は低すぎると思います。新しい制度を作るといって国民のためになっているものはどのくらいあるでしょうか。立法府のやっていることはたいしたことをやっていないといえないでしょうか。むかしはできていたのに今はできない理由をはっきりと国民に示すことができないと、政策の目標が見えないので不安に陥ってしまいます。あまりにも目先のことにとらわれていて制度設計とその結果が十分検証されていないようにおもわれます。 年金については現制度を継続して、足りない部分は、生活基金として新しい制度を構築していかなければ、旧制度は何処が悪いのか、新しい制度は、どこがどう違うのかがわからなくなってしまいます。国民にわかりやすい制度でないとこれからの信頼は得にくいと思います。4.1パーセントが、いろいろなことをものがたっているとおもいます。
今回の件で民主党提案の「企業・団体献金を全廃し個人献金のみで」の危険性を暴露した。
・企業名を個人名に変えるだけで、同様の献金は可能。
・大型献金も報告義務のない5万円以下の小口に分散すれば、献金者の正体をくらませる。
・違法となる外国人献金も、同様に目につかない。
「個人献金が少ないから」の意味は額が少ないのではなく人数が少ない、だろう。偽名の寄せ集めは、分散総額と表記人数のバランスを尤もらしくし、さらに外国人献金の代理(虚偽)名義も含まれると思われる。
何といっても個人献金額6億円。うち6割が偽名(匿名)。
鳩山個人資産から引き出して秘書が献金を偽装しなければいけない額じゃない。万が一勝手に引き出したとして、億に近い金が消えて気づかない金の持ち主がいるか!
作ったシナリオは苦しすぎる。解任した秘書には大金を渡して口封じ・・・かな?