TPPの条約条文全体(英文)が、今日、公開されました。日本語ではその概要のみ公開されました。
その中で、条約発効後7年後以降、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、チリからの要請があった場合、日本の関税の引き下げ等を加速するために再協議を行うことが規定されていることがわかりました。
日本の農産品についての関税引き下げを、さらに進める方向で再協議が行われることになるのではないかとの懸念があります。
日本政府は、そのような再協議の規定はそれぞれの国々と相互に結んでいるので、日本だけが一方的に不利益な議論をのまされることなないと説明しています。しかしほんとうにそうでしょうか。
一例を上げると、そのようなことを規定した各国についての英語の条約文を見ていると、日本に対するものと、米国に対するものとの、条文上の違いがあることに気づかされます。
米国についての規定にだけ、if any という言葉が入っています。これは、さらに引き下げるべき関税が、「そのようなものがあると思われないが、もしもあった場合には、米国は再協議に応じますよ」という意味合いで書かれています。
しかし、日本についての規定では、そのような if any という言葉は含まれていません。すなわち、 日本の場合には、さらなる引き下げを議論すべき関税がより高い可能性で存在するという前提での規定となっています。
米国よりも、日本に対してより重くのしかかってくる可能性は否定できません。
日本だけが一方的に不利益になるわけではないという政府の説明は、明らかに不誠実です。
膨大な条文数を有することが明らかになったTPP。まだまだ、私たちに明らかに知らされていない問題があるのではないかと懸念されます。