長崎に原爆が投下されて73年。長い年月が経ちました。
私はお隣の佐賀県に生まれ育ちましたから、長崎の原爆惨禍根を極めて身近に感じてきました。
核の悲劇を二度と繰り返してはならない。
国連の事務総長として初めて、グレテス氏が、長崎での式典に参加しました。そこで彼が述べたことの中で、私が改めてはっとしたこと、それは彼の、今の世界では核軍縮という動きが止まってしまっている、という言葉でした。
第二次世界大戦後、冷戦の間も含めて、米露は核の悲劇を繰り返さないために核軍縮の議論を続けてきました。うまく進んだ時もあれば、停滞した時もありました。
紆余曲折はあったけれど、超大国が、世界全体で核軍縮を進めていこうとしていたことは確か。
しかし、今はどうか。グレテス氏が言うように、核軍縮という言葉を、最近は聞かなくなりました。それどころか、核兵器禁止条約に関して、唯一の被爆国たる日本までが、「核の傘」を慮って、積極的な発言を控えるようなところにまで至っています。
世界は、何かおかしい方向に進んではいないか。
広島、長崎での式典を経て、もう一度私たちは、自分の胸に手を当てて考え直す時にきているとのではないでしょうか。