米国大統領選候補選び真っ最中のクリントン氏が、TPPについて、その内容に満足していないがゆえに再交渉すべきという考えを示したことは、改めて、安倍総理が主張する、「秋の国会でTPPの国会承認を得る」という戦略がいかに間違っているかを示しています。
トランプ氏もTPPには反対の立場、現在の合意内容を受け入れるとは思えません。
そんな中、日本だけが、新しい大統領が就任する前に、「日本はこの内容を受け入れます」と国会も含めて態度を示すことは日本にとって危険です。
なぜなら、クリントン氏にしてもトランプ氏にしても、「日本はそこまでは受け入れた」ということで、そこを起点として、彼らとして「日本はもっと譲歩すべきだ」として再交渉を求めてくるのは必定だからです。
先方からこれから再交渉をしてくる可能性を示している、すなわちどこまでなら譲歩できるかを示していない中で、こちらから先に「ここまでなら我が国として受け入れられますよ」と手の内を明かすことは、全く国益に反します。
ますます日本が先にTPPに突き進むことの矛盾が露呈してきています。