TPP交渉が大筋合意に至りました。今後、国会にその条約案の審議が託されることになります。
合意に至った、との報が伝えられるだけで、具体的にその内容がどうなっているのか、特に日本が守るべき分野とした農業について具体的にどうなっているのか、逆に日本が攻めるべき分野である自動車輸出についてはどうなっているのか、この時点でもはっきりしません……
ただこの類の交渉にこれまで携わったことのある立場から見ると、言えることがあります。それは、交渉の中で、日本が最後の最後まで国益を主張したというよりも、日本は他国より早く譲歩してしまっていたということです。
日本が他のどの国よりもしっかりと国益を主張したのであれば、コメなどの農産物が最後まで決着のついていない分野として残っていたでしょう。あるいは自動車輸出の分野が最後まで決着のついていない分野として残っていたでしょう。
ところが、最後まで残っていたのは、バイオ医薬品のデータ保護期間、乳製品関税でした。最後まで交渉が残るということは、関係する国がそれだけ強く自国の国益を主張したということ。逆に、最後に至る前に合意に至ったということは、それだけ早く譲歩したということ。
米や酪畜などの農産物、自動車輸出の分野が早々に譲歩されていたことがうかがえる交渉経過からしても、全体として日本の国益が最大化されているとは言えないのではないか。
国会として、条約案を厳格に精査していくことが必要です。