TPP交渉の結果が、日本の国益にかなっているかどうかを見る際、単に関税率が最終的にどこまで下がるかという点のみならず、その下げるペースも詳細に分析していかなければなりません。
つまり、関税を前倒しで引き下げるのか、後ろ倒しで引き下げるのか、で大きく影響は異なるのです。前者を、フロントロード、後者を、バックロードと言います。
今回のTPPの場合、フロントロードのひとつの例は日本に対する牛肉の輸入関税。現在の38.5パーセントの関税率が、初年度に一気に27.5パーセントまで下がることになっています。そしてその後、9パーセントという低いレベルまで行き着くわけです。
逆にバックロードの例は、日本から米国への自動車の輸出に関する関税。日本にとってはまさに「攻めるべき分野」でした。ところが、これは2.5パーセントの関税率の引き下げが始まること自体が15年目から。それまでは何にも変わらないのです。そして25年も経過したところでやっと関税ゼロになる、ということです。
つまり、自動車関税撤廃という日本が攻めるべき分野では、成果が後ろ倒しでされている一方で、牛肉の輸入のように日本が守るべき分野のおいては、すぐさまその成果を取られてしまっている。そういう結果なのです。
このように、TPP合意の内容について、その詳細についてしっかり分析する必要があります。