この秋の、有明海におけるいわゆる「秋海苔」については、特に佐賀県南西部において過去なかったレベルの不漁でした。
全くとれずに網を上げた、という状況です。
今日、国会で有明弁護団の方々にも参加してもらって、現地の漁業者の方々とオンラインでつないで農水省・水産庁との会議を開き、漁業の現場の深刻な声を伝えました。
さらに私たちが今日、農水省・水産庁に求めたのは、有明海特措法第22条の適用です。
(赤潮等による漁業被害者等の救済)
第二十二条 国は、有明海及び八代海等の海域において赤潮等により著しい漁業被害が発生した場合においては、当該漁業被害を受けた漁業者の救済について、当該漁業被害に係る損失の補填その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
2 国は、前項に規定する場合において、漁業者以外の関係事業者等の救済について、事業の再建に対する支援、雇用の機会の確保その他必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
これが第22条の条文です。
諫早湾干拓が締め切られた後、2000年から2001年にかけて歴史的な海苔の大不漁が起こりました。これを受けて議員立法として作られたのが、有明海特措法。
その成立の経緯に鑑みても、今回、2000年の時を上回るような可能性のある海苔不漁に対して、まさにこの第22条の発動を考えるべき時に来ているのは明らか。
そのことを求めたのです。
ところが今日の農水省・水産庁の説明は、驚くほど危機感を欠くものでした。漁業共済、積立プラスという既存の措置で対応するという考えを繰り返したのです。それのみならず、この第22条に規定されている、赤潮等の発生の際の「漁業被害に係る損失の補填」について、漁業共済、積立プラスで対応するとの考えを示したのです。
既存の仕組みで対応するのであれば、あえて第22条に「損失の補填」と書くはずがありません。それを上回る「損失の補填」を行うために、あえて第22条という条文を盛り込んだということなのです。
2000年以来の海苔の不漁と漁業者の苦境に対して、全く当事者意識を欠く農水省・水産庁の姿勢は改めなければなりません。